2018 4/3-9 クロアチア・イストリア100マイル 参加ツアー 旅行記④ Istria100スタート~Buzet88km


 いよいよ、ウルトラトレイルワールドツアー「100Miles Of Istria」のスタートです。

【イストリア半島の東端ラビンから、最西端のウマグへの旅】


最高の快晴に恵まれたラビン。スタートのアーチはラビンの主要道路に設置され、一時的に交通規制してスタートが開催されました。
参加人数はエントリーが約600名と、2000名を超えるレユニオンやUTMBに比較するとはるかに少ないですが、それでもハイテンションなMCの声と音楽で盛り上げるスタイルはさすがウルトラトレイルワールドツアー。テンションが上がります!

スタート20分前でも、まだあまり選手は並ばず、各々スタート周辺でリラックスしています。
私自身も非常にリラックスしてスタートラインへ並ぶことができました。

いよいよ17:00が近づき、カウントダウンが始まります!
「5,4,3,2,1… スタート!」

ラビンの町から一斉に世界のランナーがスタート!

このレースは100マイル167㎞で総獲得標高が約6600mと、UTMBなどのアルプス、ピレネーなどで開催されるウルトラトレイルに比較すると
比較的、獲得標高は少なめで走りやすいプロフィールといえます。
しかし、されど100マイル。どんなに高低差が少なくてもやはり167㎞という距離を走り切るのは容易ではありません。

ペース配分や補給、夜間のウェアリングやライトなどの装備も非常に重要です。

【Istria100コースレイアウト】

ウルトラトレイルワールドツアーの1戦であるイストリア100は、前半に比較的厳しい山岳コースが集中し、ドロップバックエイドのBuzet 88㎞から先は、巨人伝説の天空都市をめぐるコースとなり、それほど大きな山は少なくなります。 

スタートして1~2㎞程アドリア海を望む景色の良いロードを進むと、すぐにシングルトラックのトレイルに入ります。そのため集団後方は少し渋滞するかもしれませんが、それほど気にすることはないでしょう。
以外とガレていて、いきなりここで転倒や捻挫をしないように、注意が必要です。

スタート地点のLabinは丘の上の町なので、そこから海辺まで下るイメージです。下りきるとアドリア海の入り江に出来たきれいな公園に出ます。
公園を抜けると、コースはいきなりほそーい急な階段へ進み、住宅地を縫うように上ります。
「いったいどこに行くんだ?」とワクワクする面白コースです。

しばらく階段を上ると一気に見晴らしの良い高台に出ます。第1エイド15.6㎞に向かう最初の一山です。
アドリア海を背中に、これから行く山々の稜線がよく見渡せる絶景です。ここはそれほど急登ではなく、ジョグと歩きを織り交ぜながら行ける感じです。トップ20ぐらいの選手はほぼ全部走っていくでしょう。

この一つ目の山の頂上付近は360度の絶景パノラマが広がります。アドリア海とイストリアの山脈、最高地点のPoklon1400mまで見渡すことができ、暮れ始めた夕焼けがとてもきれいでした。

ピークを超えると、砂利のダブルトラックの下りで第1エイドまで一気に下ります。ここは全部走れますが、私は後半に備えて極めてペースをセーブして下りました。おかげでバンバン抜かされますが、こうした下りを飛ばしすぎた漬けは必ず後半にやってきます。

なので下りもストックを使って細かいピッチで、なるべく足への衝撃を抑えて下ります。

下りきるとPlomin Lukaの町に出て、第1エイドに到着します。
私はここに1時間14分、114位で到着。 まだ食べ物は十分あるので、水のみ補給しすぐにエイドアウトします。

ここからはこのIstria100のうちでも最も長く急な登りが出てきます。
とはいってもUTMBなどと比較すると、上りやすく傾斜はそれなりに急ですが、厳しい岩場などはありません。

この登りを上るころ、本当に美しい夕焼けとなります。
写真は今回の2018年大会の実際の写真で、まさしくこの景色の中を進みました。

この辺りは鍾乳洞などがたくさんあるカルスト地形で、独特の白い岩がにょきにょき生えたようなトレイルを進みます。
背の高い木がほとんどないため、非常に見通しがよく壮大な景色が広がります。

2つ目の山のピークに近づくころ、快晴ということもあり、放射冷却されて一気に気温が冷え込んでいきます。
風もやや出てきたので、この辺で長袖ウェアを出して、ヘッドライトも装備、首にBuffを巻いてナイトランに備えます。
私はショートパンツのままでしたが、多くのランナーがレギンスを着用していました。
思っていたより冷え込みは厳しかったように感じます。

2つ目のピークを越えたころから、ほぼ日が暮れてナイトランに入ります。下りはかなり細いテクニカルなシングルトラックですが、比較的走れます。
コースマーキングも相当な数の旗があるので、ロストはほぼ考えられません。しかし、トレイルは普段ほとんど人が入らないであろうルートを行くので、マーキングを見失うと危険です。

暗くなってくると、遠くには海辺の町の明かりと海には船の明かり、空には星が輝き、素晴らしく幻想的な景色が広がります。

シングルトラックを抜けると林道の下りに出て、Prodolの第2エイドまで林道です。
ここはかなり走れてしまいますので、足にダメージを蓄積しないようにセーブが必要です。

ここのエイドでびっくりしたのは、エナジードリンクのRedbullが大量に用意されていたことです。
Redbullが飲み放題の大会はあまり知りません。これからのナイトセクションに備え、フラスクにレッドブルを入れて、チョコパンを2個、ポテトチップスを少し食べて、エイドアウトします。ここから第3エイドまでは約16㎞感覚があり、大会中の最高峰1400mのPoklonののぼりがあります。
どれぐらい厳しいのぼりなのか、予測がつかないので、このエイドでは10分ほど止まって、しっかり補給し、態勢を整えます。

エイドはなかなか充実しており、温かいスープ、スポーツドリンク、コーラ、レッドブル、水、炭酸水、ドライフルーツ、ポテトチップス、サラミ類、チーズ、チョコペースとたっぷりのパンなどが設置されていました。

ここからは、しばらく走れる緩やかな林道が続きます。まだ前半なので結構いい勢いで林道を飛ばしていく選手が多いですが、かまわずに行かせます。100マイルレースは100㎞からが勝負、いや120㎞かもしれません。そこからどれだけ淡々と普通に動けるか否かで、結果は全く変わってきます。
前半50㎞で抜いた抜かれたは全くどうでもよいことです。

今までは私もそう思っていながらも、ついつい向きになって競り合って何度も苦い思いをしてきましたが、今回は非常に冷静に自分のペースだけを意識して淡々と進めていました。

コースはカルスト地形の山の稜線をずっと進みます。そのためかなり風が吹き抜け、ウェアリングには気を使います。長袖を着用していましたが、ペースダウンした場合はウィンドシェルを着ないとすぐに体が冷える感覚です。
ここで非常に良いペースで引っ張ってくれるフランス人に出会い、彼にひたすらついていきます。早すぎず遅すぎず私にとって絶妙なペースです。

のぼりも結構走れる緩斜面が多く、気持ちの良いコースです。しかしトレースがほとんど不明瞭なため、マーキングのリフレクターのみがコースを示す唯一の判断材料です。そのため、マーキングの見落としには要注意です。

【最高地点1400MのPoklonへ】

予想外に最高地点のPoklonにつくまでにはいくつものアップダウンを繰り返し、なかなかたどり着きませんでした。
比較的走りやすいトレイルから、小さな村を抜けて、突然日本の山を思い出させる広葉樹の腐葉土でできたふかふかの森の中のトレイルに入ると、一気に急登になります。ここで、「あ、これがピークへののぼりだな」とすぐに察知できました。

これまでに比べるとかなり急な登りになるため、心拍を上げすぎないようにコントロールが必要です。足を使いすぎないようにストックにうまくウェイトを分散してリズミカルに上ります。

トレイルは黒土の非常にふかふかな道で、まるで日本の山のようです。しかししばらく上ると、森を抜けて再び開けたカルスト地形の急登となります。
この急登で、かなりのランナーがペースダウンしてきており、淡々と上っていましたがかなり抜かし始めます。

皆序盤の林道でかっ飛ばしていったランナーです。

頂上の天文台に近づくと、少しフラットになり走れるようになります。天文台を過ぎるとコース最高地点通過となり、はじめはロードを下り始めます。
しかしすぐにロードからシングルトラックのふかふかトレイルに入ります。ここの下りは本当に日本のトレイルそっくりです。

ブナやナラの広葉樹からできた非常に良質の腐葉土でふっかふかで走りやすいトレイルです。しかしながらまだ結構残雪があり、何度も雪渓をトラバースします。雪渓を走るときは絶対にストックがあると有利です。滑ってバランスを崩してもストックがあればかなり立て直せます。

第3エイドまでの下りはなかなか下りごたえのある、適度にテクニカルなダウンヒルです。
この辺から今回最初のゾーンに入り始め、快調に進みます。

Poklonから下りをほぼ下りきったあたりに、41㎞地点の第3エイドが現れます。
コース上の最難関を通過し、ひと段落です。でもまだまだ前半なので十分に余力を残していなくてはなりません。
個々のエイドでも、チョコパンを2個食べて、スープを飲み水分もしっかり補給してエイドアウトします。
このエイドは6時間10分、57位で通過します。

【第3エイドから第4エイドはひたすら走る林道】

第3エイドから第4エイドの約15㎞は、完全に深夜帯となり眠気が出る時間帯です。そしてこの区間はかなり走り続けられる林道区間です。
ここまででかなりばらけたこともあり、完全に単独走となります。星の明かりを眺めながら、ひたすら淡々と夜の林道を進みます。
時々トレイルに入り、気持ちの良いふかふかトレイルを下ります。
しかしながら、暗闇の単独走での15㎞はなかなか長く感じます。しばらく行くと2名のランナーに追いついたので、無理に抜かさずにしばらく3人で進みます。3人のほうが気持ち的にはかなり楽です。この辺で無理に飛ばしてもそれほど良いことはないので、やや遅いペースでしたがしばらく3人で進みました。

少し緩やかに上り基調になってくると、次のエイドが近づいてきます。深夜帯ということ、ランナーがばらけて少なくなってくることなどからも、この区間は結構長く感じましたが、集落に入るとやっと第4エイドBrgudag55㎞地点です。

8時間3分で到着し順位には変化がありません。相当セーブしてきたつもりでも、55㎞走るとそれなりの疲労感が出てきます。しかもこのセクションは相当長時間走り続けたため、足の筋力にかなりのダメージが蓄積しました。 
若干所局にも陰りが見え始めたので、ジップロックに砕いて入れてきたカップヌードルのカレーにお湯を入れてもらって、食べました。

食べなれたヌードルはおいしくしっかり補給できました。この辺になってくると日本人にはなじみの薄いパン屋サラミ系の補給がやや難しくなってきます。それを予測して今回私はカレーメシやカップヌードル、緑の狸そばなどをジップロックに入れて携帯していました。

これは大正解で、まず最初にこの第5エイドでカップヌードルを食べました。
このエイドにはスープパスタもあったので、スープパスタも一緒に食し、まだ食べれるうちはとにかくしっかり補給を心掛けました。

このエイドには、Hokaのウェアに身を包んだエリートランナーらしき選手が青白い顔押してロングストップしていました。
おそらくトラブルを起こして動けなくなっているようです。この辺から徐々にウルトラトレイルの難しさに直面する時間帯です。

【第4エイドから夜明けの中間エイドへ】

第5エイドでは15分ほどストップし、崩れかけたコンディションを立て直すことに集中しました。しっかり補給し次のエイドまででハンガーノックなどを起こさないよう気を付けます。

ここからは、土のシングルトラックのアップダウンを繰り返し、なかなか面白いナイトセクションでした。ブナの森を縫うように進み、変化があって走りがいのあるトレイルです。

すでにかなり人気は少ないですが、見える範囲で数名が前を言っているのを目印に淡々と進みます。
トレイルは落ち葉でふかふかでアルプスやピレネーのような岩盤室のカチカチトレイルとは全く違います。きっとこういうふかふかの土地にトリュフが育つのでしょう。とても黒々とした養分たっぷりの土が豊富です。
夏になったらかぶとむしとか沢山出てきそうな土でした。



この第4エイドから第5エイド間は17㎞あり、大会中最も長いエイド感覚があります。
この区間は結構タフなアップダウンが繰り返し、同じくらいの選手と抜きつ抜かれつ、結構しのぎを削りました。
私自身はいたってマイペースのつもりでしたが、選手によっては下りが得意な選手、のぼりが得意な選手と異なるため、のぼりでは抜き、下りでは抜かされるを繰り返しながら進みます。 

100マイルでは下りの足が終了してしまうと、ゲームセットと私は考えているので、下りは極力セーブして進むことを心掛けています。
内臓トラブルもよく起こすので、下りで内臓が揺れると私にはリスクが増します。

第5エイドは小さな仮設テントのエイドです。
このエイドにはあまりストップしませんでした。夜間はかなり冷え込んだため温かい紅茶を補給し、フラスクにも温かい紅茶を入れます。
次のエイドは中間点のドロップバックエイドで、そこでしっかり後半への態勢を整える計画にしていたので、このエイドは最小限にとどめエイドアウトします。

17時にスタートし、丸まる一晩走り続けてきたので、そろそろ夜明けが恋しくなります。
早く夜が明けないかなあ、と思いつつ淡々と進みます。

【第5エイドから、難所Buzetへの下り】

ウルトラトレイルで私が個人的に最も警戒するのは下りです。特に急な下りは確実に足にダメージを与えるため、どれだけ最小限のダメージで下れるかが重要です。 そしてコースプロフィールで最も要注意個所と踏んでいたのが、この第5エイドから中間エイドのBuzetへの、コース中最も長く急と思われる下りです。

そしてその下りは予想通り、いや予想以上に手ごわい下りでした。

この下りは極めてテクニカルで、岩場も多数あり、無理の出来ない下りでした。かなり慎重に足のダメージを抑えるべく下りましたが、かなり距離も長くダメージが蓄積していくことを感じざる負えません。

眠気などもあると転倒リスクも高いかなりテクニカルなルートなので、要注意です。この下りで何名かに抜かれましたが、無理せずかなり歩きを混ぜて下ります。

このくだりの途中で夜が明け始め明るくなります。目の前に朝霧の雲海が広がり、その中にBuzetの町が見えてきます。実に絵になる風景です。
暗闇から解放されると気持ちがだいぶ楽になります。

しかしながら、見えてはいるものの、なかなかBuzetの町には着きません。
まだかまだかと厳しい下りを下り続けます。 すでに80㎞以上走っており、いくらセーブしてきたとはいえかなりの疲労感です。

やっと厳しい下りのトレイルを抜けると、ロードに出てBuzetの町に入っていきます。
Buzetの町はかなり標高が下がるので温かいかと思ったら、放射冷却のせいか、Buzetの町こそがこれまでのどこよりもめちゃくちゃ冷え込んでいて気温3度ぐらいのように感じました。
ロードの下りは特にダメージがきついので、ほとんど歩き倒しました。ここでも抜かれましたが、気にせずに歩きます。

スタートから14時間3分かかって、Buzet88㎞の中間エイドにたどり着き、徐々に順位も上がり43位まで上がっていました。

【中間エイドBuzet88㎞で、後半に向けて体制を整える】
中間エイドは大きな体育館で、カーペットが敷かれ、温かく快適です。
自分のドロップバックを受け取り、絶対に食べると決めていた「カレーメシ」にお湯を入れてもらいます。


カレーメシができるまでの間にソックスを履き替え、足に入念にワセリンを塗ります。ここまでほとんどマメなどのケガはありませんが、右足の親指にまめができかけていたので、たっぷりワセリンを塗って予防します。

14時間経過し、食欲に問題がないのは私としては快挙です。メダリストのアミノ酸を取り、カレーメシを食します。
「うまい!」 私にとって100マイルレースの必携装備「カレーメシ」

体が喜んでるのがわかります。この中間エイドでは絶対に十分な補給をすることを決めていました。約30分は態勢を整えるためストップする計画です。
ほぼ14時間でエイドインしたので、14時間30分ごろエイドアウトする予定で行動します。

まだエイドにはランナーが少なかったため、ボランティアの方々が私のほうまで来てくれて、フラスクに水を入れてくれたり、カレーメシにお湯を入れて持ってきてくれたり、親切にしてくれます。

スタートで携帯した補給職はほぼ完食し、後半に向けて携帯する補給も忘れずに入れる必要があります。

ジップロックに詰めたカントリーマームとしっとりクッキーと、別のジップロックに柿ピーとミックスナッツを混ぜたしょっぱい系ジップロックを携帯し、これまでのごみをすべてごみ袋へ捨てます。

天気は快晴のためかなり熱くなることを予測して、日焼け止めも塗ります。

カレーメシとパスタを完食し、600Kcalは最低でも接種。
14時間30分に予定通りエイドアウトします。

外には朝霧がかかり、まぶしい太陽が昇り始めています。しかし寒い!!
Buzetはものずごく冷え込んでいました!

川の水のほうが温かいようで、川から湯気が立ち上り、白い霧の中を駆け抜ける景色は本当に幻想的です。
Buzetからはしばらく川沿いの農道をはしり、次のエイド、「世界一小さな町 HUM100㎞地点」を目指します。

いよいよ後半戦、果たしてゴールまで無事たどり着けるのか??

つづく・・・・








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